11月に入り2022年も残り2ヶ月弱となりました。
冬時間となり日の暮れるのがより早くなった事もあり、朝晩は気温が低く暖炉を焚き始めている我が家です。
それでもありがたい事に日中は日差しが暖かく、外にいる方が家の中よりポカポカしていて気持ち良い!
穏やかな小春日和です。
『小春日和』とは秋から初冬に使われる言葉なのですよね。
そのまま直訳した言葉ではありませんが、春夏秋冬のあるイタリアでも今の時期の穏やかな春の様な陽気を表現する言葉があります。
キリスト教カトリックが日常生活や文化に染み込んでいる、イタリアらしい言葉です。
今回はイタリア語で小春日和とは何と言う?その由来も紹介!というテーマでお届けします。
是非お付き合い下さい!
目次
イタリア語で『小春日和』とは何と言う?
『小春』とは、旧暦10月を表した言葉なのだそうです。
なんとなく言葉の印象から、春先の穏やかな暖かさを表現する言葉の様に勘違いしそうですよね。
実際は旧暦の10月、今の太陽暦においては11月から12月初旬の即ち初冬に、まるで春の様な陽気が続く事を表す言葉なのです。
イタリアも春夏秋冬四季のある国です。
やはり、秋らしく一旦は寒さが訪れた後に穏やかな春の様なポカポカ陽気が戻る事があります。
それをEstate di San Martinoと言います。
読み方は『エスターテ ディ サンマルティーノ』で聖マルティーノ(聖マルティヌス)の夏と言う意味です。
聖マルティーノ(聖マルティヌス)とは
Perché si dice “Estate di San Martino” https://t.co/IaaKkrTeci pic.twitter.com/MgyvdoGK80
— Hotel Rimini Name (@HotelRiminiNews) November 9, 2021
言語によって読み方が変わるのですが、マルティヌスと言う名前の聖人はキリスト教カトリックの中で数人存在します。
その中でも一番ポピュラーな聖人マルティヌスがこの『小春日和』のイタリア語の元になっている聖人で、トゥールのマルティヌスと呼ばれます。
ローマ時代の西暦316年頃に現在のハンガリーにて生まれました。
ローマ帝国軍の将校であった父の転任で、子供の頃にイタリアのパヴィアに移住します。
その後マルティヌスも父親により軍隊に入隊させられます。
後述しますが、伝説として語り継げられている出来事がきっかけで、洗礼を受けてキリスト教の伝道活動をする様になりました。
各地に修道院を建て病気を治癒させたりもしていたと言われます。
397年(一説では400年)に没していますが、その謙遜と禁欲を重視した生涯が人々の崇拝の対象となりました。
生前、そして没後に起こされた奇跡についての記録も多く、殉教せずして列聖された最初の聖人となっています。
遺体は司教を務めたことのあるトゥールに埋葬され、その上に質素な礼拝堂が建てられましたが後に大聖堂となりました。
1230年の火災でその大聖堂は焼け落ち、再建されるもののその度に宗教改革やらフランス革命で破壊されたり取り壊されてしまいました。
それでも巡礼の中心地であり続け、現在は小ぶりながらも礼拝堂が再建されています。
大変人気の高い聖人で、祀られた教会・聖堂・礼拝堂などは多く、またその名にちなんだ地名も多く残されています。
『聖マルティーノ(マルティヌス)の夏』と呼ばれる由来も紹介!
キリスト教カトリックにおいては毎日聖人の日が設定されていて、11月11日がトゥールのマルティヌスの日です。
この聖人の命日とも埋葬日とも、あるいは誕生日と言われている日だと言うことです。
由来となる聖マルティヌスの伝説
397年(あるいは400年)11月11日、トゥールの聖マルティヌスが没する(埋葬日あるいは誕生日ともいう)。ローマ帝国の軍人であったが、物乞いに自ら着ていたマントを裂いて与えたのがきっかけとなり受洗、西方教会初となる修道院(リグージェ修道院)を建設した。 pic.twitter.com/ke9AXd0uny
— Watanabe (@nabe1975) November 10, 2017
聖マルティヌスにまつわる有名な伝説を紹介します。
ローマ軍の軍人となっていたマルティヌスがガリアのアミアン(現在のフランス北部コミューン)に派遣された時の話です。
とても寒い豪雨の日に、アミアンの城門で半裸の物乞いに出会います。
マルティヌスは自分のまとっていたマントを剣で引き裂き、半分をその物乞いに与えました。
しばらく行くとまた半裸で震えている別の物乞いに出会った為に、残っていた半分も差し出しました。
その瞬間に急に空が晴れて陽が差し込んだのだそうです。
天が寒さを和らいだのだと言われます。
実はその物乞いはキリストで、その夜マルティヌスの夢の中に現れました。
それをきっかけにマルティヌスは軍隊をやめると決心し、洗礼を受けたのでした。
このエピソードから、聖マルティヌスの日のある11月頃に暖かな日差しの陽気が続く事を、聖マルティヌスの夏(イタリア語でエスターテ ディ サンマルティーノ)と呼ぶようになりました。
この伝説はとても人気があり、聖マルティヌスを表すのに良く用いられる主題となっています。
イタリア語で小春日和とは何と言う?その由来も紹介!のまとめ
今回は、イタリア語で小春日和とは何と言う?その由来も紹介!というテーマでお届けしました。
日本語の『小春日和』とはとても美しい表現で、昔の日本人の感覚の素晴らしさに感嘆します。
一方現在は国教では無いとはいえ、やはりキリスト教カトリックが日常生活に根付いているイタリアにおいてのイタリア語の表現『聖マルティヌスの夏』。
それぞれの国の特徴を表していますね。
さて、特にヨーロッパはインフレとエネルギー不足及び価格高騰が深刻な状況です。
イタリアも例外ではなくこの冬の寒さ対策が心配な中で、今のところは朝晩はともかく『聖マルティヌスの夏』でありがたい日々であります。
もう暫くこの恩恵に預かれると良いのですが。
という事で、『イタリア語で小春日和とは何と言う?その由来も紹介!』
最後までお付き合いありがとうございました。