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ヴェネツィアの大運河が緑色に?流出した物質は無毒のフルオレセイン!

ヴェネツィアの大運河が緑色に?流出した物質は無毒のフルオレセイン!
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2023年5月28日、イタリアの水の都ヴェネツィアで起きた出来事。

中心地リアルト橋のたもとの大運河の水が緑色に染まっている事に市民たちが気付きました。

一部の市民が地元警察に通報したのは午前9時半ごろだったと言います。

このところ戻ってきた観光客で街は賑わっていた上に、特にこの日曜日は大運河沿いで『ヴォガロンガ』という非競技のレガッタが開催されていて、約2000隻の手漕ぎボートが大運河を渡っていました。

つい先日ローマのトレビの泉でも黒の塗料が放出される事件があり、環境活動家による環境保護を訴えるデモ抗議であることが確認されています。

その為まずは誰もが同じような環境活動家による行為と疑われたのですが、何よりも第一に確認すべきはその物質が有毒か否か、大運河水域に有害かどうかでした。

その後の分析で、幸い流出した物質はフルオレセインという無毒のトレーサーとほぼ確認されています。

一日経った5月29日現在も謎のままではあるのですが、今分かっている事を整理してお伝えします。

 

ヴェネツィアの大運河が緑色に?


これだけの緑色になっている事から、流出した物質はかなり大量であったと考えられます。

それだけの物質が大運河の水域に流れ着いたというのは、偶然とは言い難いでしょう。

しかしながら、一日経ってもこの事態の責任を名乗り出てくる、もしくは功績を主張してくる人がいないのも謎です。

意図せず流出してしまった事故なのか、それともこの様な事を理由があって行った人や団体がいるのか・・?

 

ヴォガロンガの日に起きたのは偶然?


ヴォガロンガとは、1975年から行われている非競技のレガッタです。

モーターボートによって起こる波に対抗し、運河を守るという意図で開催されています。

今年は第47回目の開催でした。

手漕ぎボートであれば誰でも参加できるので、この日は世界40ヵ国から約2000隻、7300人が参加していたそうです。

競技のルールとしては、30kmのコースを6時間以内にゴールするというものだそうです。

その開催直前に大量のフルオレセインが流出されたというのは、あまりにも不思議な話ですが、参加者たちはその緑色の運河をも通り抜けて行くことになりました。

地元警察の捜査

現在のところは流出した物質がどこで発生したかも特定されていません。

その特定の為には全てのカメラの確認はしているものの、これが万が一個人の家からだったとしたら捜査はより複雑になると言います。

ヴェネツィアには下水道がありません。

家庭での汚水もそのまま運河の水に流れ出る事になります。

ただ、もしかするとその事を知らない人も多いのかもしれないというのです。

その場合は、そのつもりがなく自宅で流したものが運河に反映されたと言うこともあり得ます。

そうは言っても、自宅でつい流してしまったと言うには相当な物質の量だという事も忘れずにはいられません。

罰則を恐れているという仮説も立てられます。

起こしてしまった事の重大さに、名乗り出ることができないのかもしれません。

現在は罰金に値するかどうかの協議中ですが、完全に無毒無害となれば環境犯罪要素は無くなるので、注意勧告のみですむ様です。

ニコラ・ディ・バーリ県知事の言葉

今回の事件の背後に誰がいるのかどうかは未だわからず、この件に取り組んでいる人々の心を翻弄し続けています。

私たちは街の美しさを守らなければなりません。

今後もこの様な事が模倣される可能性が出てくので今回の事件は実に深刻です。

今後は更に監視カメラによって主要な場所の規制を強化する措置を施すことを承認しました。

 

流出した物質は無毒のフルオレセイン!


トレーサーというのはいわゆる蛍光剤の事で、液体など流体の流れを追跡するために使われる微量添加物質です。

放流場所を特定するために水の経路を追跡したり、水の移動にかかる時間やその他の技術的側面を測定するために使用されます。

例えば水漏れの際には、年のパイプや排水溝に注入するとその経路を把握する事が出来るわけです。

よって、住民の健康に危険性は無いというのが何よりです。

今回のケースの場合は、未だにこの事件の責任を名乗り出る者、又は団体がいない事で、これが何かの調査のために行われたわけではない事を物語っています。

しかも、もし専門家や企業が使用する必要のある場合には、一般的な通報やそれに伴っての住民の不安を避けるために予め自治体に伝えるのが常となっています。

 

1968年にアルゼンチン人アーティストが行った環境保護パフォーマンスで使われたもの

水のサンプリングを行った地域環境庁によると、今回の緑色の液体はフルオレセインによるものとほぼ確認された様です。

この物質は数年前に亡くなったアルゼンチン人アーティストのニコラス・ガルシア・ウリブルが、1968年のアートビエンナーレにおいて環境保護の名目で行ったパフォーマンスで使われたものだという事です。

ニコラス・ガルシア・ウリブル(1937年12月24日 – 2016年6月1日)

アルゼンチンのアーティスト、造園家、エコロジストで、ランドアートの分野において水質汚染などの環境問題に対する意識改革を目指した。

ブエノスアイレスに生まれたニコラス・ガルシアは幼い頃から絵を描き始め、1954年には地元のミュラー画廊で最初の展覧会を開催した。ブエノスアイレス大学に入学し建築の学位を取得した後、1965年に妻のブランカ・イザベル・アルバレス・デ・トレドと共にパリに移住。後にブランカとの間にアズールという子供をもうける。1968年、ポップアート風の彫刻「スリー・グレイセス」で国立彫刻サロンで大賞を受賞。コンセプチュアル・アートの世界に足を踏み入れ、アイリス・クレール・ギャラリーでアクリル製の人工庭園を展示し、環境活動への新たな方向性を打ち出す事となった。

1968年6月に権威あるヴェネツィア・ビエンナーレに招待され、水中の微生物によって合成されると明るい緑色になる顔料フルオレセインを使って、ヴェネチアの大運河を染めた。1968年から彼はニューヨークのイーストリバーやセーヌ川をはじめとしてこの作品を繰り返し、その後は世界的に深刻化する水質汚染への関心を高める為の運動や社会と自然の対立や人間的自然主義の芸術を発表し続けた。

1975年には東京ビエンナーレで大賞も受賞している。

Wikipedia(英語)より引用

 

ヴェネツィアの大運河がエメラルドグリーンに?流出した物質は無毒のフルオレセイン!まとめ


今回は2023年5月28日にヴェネツィアの中心地で起きた、緑色に染まった大運河の水のニュースを取り上げてみました。

果たして事故なのか事件なのか?

この映像を見た日本人の多くが“バスクリン?”と言うコメントを寄せていたのには思わず笑ってしまいましたが、何にしろ無毒無害であった事で冗談も言える範囲内で済み幸いでした。

どちらにしてもこのまま謎で済ます訳にはいかないと思うので、警察が突き止めるか責任者が名乗り出るかどちらかにはなるでしょう。

話題性を得る事により便乗模倣犯が出ない事を祈りつつ、今後の報道に注目したいと思います。

最後までお付き合いいただきありがとうございました!