今回はイタリアのバールとは?コーヒーの注文の仕方からイタリア人国民性がわかる!というテーマでお届けします。
イタリアに暮らしてほぼ30年、祖国日本での生活よりもイタリア生活の方が長くなってしまいましたが、それでも私自身は頑なに日本人気質のままだと思っています。
それ故に未だに馴染めない事も多々あるのも事実です。
『郷にいれば郷に従え』
当然こちらが他所ものなのですから、そこは受け入れるか目を瞑るか、それが無理なら『どうぞお引き取り下さい』と言われる立場ですよね。
多くの事は慣れて当初の驚きを忘れてしまっていますが、ふとそんな体験をブログという形で残せたら良いなとも思いました。
という事で、今回はイタリア人の生活に欠かせないバールを取り上げます!
イタリアのバールとは?コーヒーの注文の仕方から国民性がわかる!
バールでの注文の仕方の紹介と言うよりもそこから解るイタリア人の特徴の紹介です。
是非最後までお付き合い下さい!
目次
イタリアのバールとは?
#イタリア🇮🇹には伝統的にアペリティーボ(食前酒)の習慣があります。夕食が20時~21時頃なので食前酒はだいたい18時~19時頃。仕事の後にバールで乾杯。日本との大きな違いはそのまま延々と飲むのでなく、1杯飲んで家路についたりレストランに向かうのがイタリアのスタイルです✨#みゅうイタリアs pic.twitter.com/7O4AqN4ktm
— みゅう イタリア (@myu_italia) July 20, 2022
BARと書いてバールです。
イタリア語も日本語と同じように、原則として言葉は子音と母音の組み合わせからなっています。
BARが子音で終わる単語なのは外国語が起源の単語である表れで、イタリア語での発音はRを巻き舌でしっかり発音するのでバールとなります。
バールとは
日本で『バー』と言うとお酒を提供するお店に限定されますが、イタリアでのバールは日本で言う喫茶店、立ち飲みカフェ、軽食喫茶やスナックバーと色んな役割を果たす社交の場です。
もちろん経営時間はバールによりますが、一般的には朝早くから夜遅くまで常に人の行き来があり、大変ハードな業種と言えると思います。
バールで提供されるもの
イタリア人の生活に欠かせないコーヒー。
イタリアでコーヒーと言うと、一般的にはエスプレッソコーヒーの事を指します。
エスプレッソの訳は早い・迅速・急ぎなど。
あの二口三口程の量のコーヒーですものね(笑)。
朝食時から仕事合間のブレイクやランチ・ディナーの食後にと、イタリア人はコーヒーを飲むことを習慣としている人が多いです。
朝食時には菓子パン的なブリオッシュ、クロワッサン、ブレイク時にはフルーツジャムを使ったタルトや甘いお菓子がお供です。
それらのパンやお菓子類は、そのバールが工房と一体化していて自家製の場合、外部の業者から仕入れる場合と形態は様々です。
コーヒー以外にもジュースなどのソフトドリンクやお酒類を注文でき、塩っぱいもの系(例えばピザやサンドイッチ、パニーニ的なもの)もあります。
夕方の食前酒タイムには、アルコール入り無しに関わらず食前酒にポテトチップスやピーナッツなどのおつまみ系がついてきます。
それらはバールによるので必ずとは断言できませんが、おつまみ系がリッチな内容だとバール自体の人気も高かったりします。
美味しいコーヒーを提供するバールの見分け方
旅先や知らない土地での美味しいコーヒーを提供するバールを見分けるには、いくつかのポイントがあります。
バールには基本的に使っているコーヒー豆のメーカーが表示されているので、お気に入りのメーカーがあればそれも一つの目安です。
また、繁盛しているかどうかは最も大きなポイントです。
何故ならお客さんが多いという事はコーヒーマシーンがフル回転しているという事だからです。
マシーンが働けば働くだけコーヒーが馴染んで(フィルターはその都度洗いません!)美味しいコーヒーが入ると言います。
とは言え、コーヒーの味はバリスタの腕によるところも多いです。
バールでのコーヒーの注文の仕方からイタリア国民性がわかる!
#caffè al vetro #buono #fresco pic.twitter.com/tpfp77u9ML
— CandyGirl (@CandyIridella) August 10, 2017
道を歩けばバールに当たる!
イタリアはどんな町でもバール(美容院&床屋も!)がとにかく多い国です。
その中で行き付けとなる決め手は、コーヒーの味(豆の種類)、バリスタ(バーテンダー)の腕、好感度、菓子パン類の種類や味・・その優先度は人それぞれかと思います。
人によっては1日に何度も利用するバールなのでもちろん値段も関係して来ますが、観光地で観光客相手でない限りは、バールでのコーヒの価格は町ごとに大概足並み揃っています。
コーヒーのこだわり
エスプレッソコーヒーは小さなカップに少量のみ、コーヒーがぎゅっと濃縮された様なものですね。
さっと飲んでサッと立ち去る・・
そんな感じなのでいわゆる日本の駅のホームの立ち食い蕎麦みたいな感じといえます。
そんなコーヒーに対してのイタリア人のこだわりが本当に驚くのです。
日本でも『どこどこ産の緑茶が美味しい!』とお茶の味にはこだわりがあったりしますけれど。
イタリアに住み始めた頃の話ですが、食後のコーヒーを飲みに行こうと誘っていただきすぐ近くのつもりで軽装で出たら、車で20分くらいドライブした町で散策を兼ねたコーヒーでびっくりした事があります。
二口三口で飲めてしまう量のコーヒーを飲みにわざわざ?
勿論毎日の話ではないですが、どこどこのコーヒーが飲みたいとか、少し食後の散歩をしてから飲もうとか、考えてみれば日常を豊かにするちょっとしたエッセンスになりますね。
的確にイタリア人を表した動画紹介
ここで、一つ面白い動画を紹介します!
元の動画のURLはこちら
この動画を初めて見たのはもう10年近く前の話でしたが、分かり易すぎて大笑いしました。
EUの人たちとは対照的なイタリア人!
普段から思ってはいた事ですがここまで明確にアニメーションにして可視化されると、いやぁもう納得納得!やっぱりみんなが気付いていた事なのだと認識した訳です。
切り取って引用させていただいた動画の部分はバールにおいてのイタリア人のコーヒー注文!
この動画内での注文は以下の様になっています。
- 熱いミルク入りコーヒー
- 熱々カフェインレスコーヒー、泡は少なめ
- 薄めたコーヒーを大きいカップで
- ぬるめの麦コーヒーに砂糖を2倍
- 冷え気味の少なめ泡なしコーヒーを小さめのカップで
- グラッパ入りのアメリカンコーヒーとミルクを別のカップに
皮肉が込められているのでわざとおかしな注文になっています。
とは言え当たらずとも遠からず・・
いや本当に、どうしてこんなにバラバラになれるのだろうかと言うくらいバラバラなのです。
そもそもみんなと合わせなければとも思いません。
バリスタはどんな忙しい時でもお客さんの注文を聞き分けなければならないので、コーヒーを淹れる腕だけでなく鋭敏さと記憶力も問われる仕事と言えます。
実際のコーヒーの注文バリエーション
そのままエスプレッソコーヒの場合はカッフェで済みます。
注文する時には『ウン カッフェ ペル ファヴォーレ(一杯のコーヒーをお願いします)』ですが、ここでは注文の仕方の実践の話では無いので省略します。
カッフェ・マッキアートはエスプレッソコーヒーに少しだけミルクを入れてもらう事。
金額はエスプレッソと同価格でバリスタにお願いする際に、ミルクを足して下さい!と一言付け足します。
そのミルクにもカルド(熱い)なのかフレッド(冷たい)なのか、中にはティエピド(ぬるめ)と細かい選択があります。
カフェインレスコーヒーはカッフェ・デカフェイナート。
カッフェ・オルゾ(D’ORZOでドルゾとも)は麦コーヒー(日本の麦茶にちょっと近いです)の事で、通常はカップが少し大きいものでサービスされます。
他にも高麗人参コーヒーのカッフェ・ジンセン(Caffè Ginseng)というのもあります。
カッフェ・コッレットと言うとグラッパやサンブーカ、ブランディと言ったアルコール度の強いリキュールを少し入れたコーヒーの事です。
カッフェ・ルンゴは直訳すると長いコーヒーで、ニュアンス的に分かる通りコーヒー抽出する時間を長くする事によって濃縮されたコーヒーは薄まります。
なので少し多めで薄まったコーヒーと言えます。
アメリカンコーヒーと言われる日本でお馴染みのフィルターで淹れるコーヒーのタイプはイタリアでは普及率が少ないのです。
その為一般のバールではメニューにありません。
あっても大概はカッフェ・ルンゴを大きめのカップで更にお湯を加える感じのものになります。
そうそう、コーヒーの種類だけでなく容器の注文もあるのですよ。
何も言わなければコーヒーカップですが、ガラスのカップ(タッツァ・ディ・ヴェトロ)好きな人たちがいてそれらのコーヒーの種類の上にガラスのカップでと注文する事もあります。
その他にもお馴染みのカプチーノもあり、カプチーノになるとさらにミルクの泡の立て方やカカオをふりかけてほしいと言った注文が更に加わります(汗)。
コーヒーの注文の仕方や種類から分析できるイタリア人の国民性とは?
このバラバラさが、何よりもそのままイタリアの国民性をよく表していると思います。
日本人の様に、秩序を大切に周りに合わせてはみ出さない様にと言う道徳感の国からしたら真逆とも言えます。
全てを口に出さずとも相手の心を汲み取ることを小さい頃から自然に植え付けられて来ているのが日本人なら、とにかく主張するのがイタリア人!
個性豊かと言えば聞こえが良いですが、言い方変えるとワガママとも言えます(苦笑)。
合わせる必要もなければ合わせてもらう必要もない、それぞれが自由という事でしょうか
バールに限った話ではありませんが、あのたった二口三口のコーヒーにこだわるイタリア人相手のバリスタの仕事ってつくづく大変だろうなと思います。
イタリアのバールとは?コーヒーの注文の仕方から国民性がわかる!のまとめ
Had a very nice espresso at Gran Caffè Gambrinus yesterday though pic.twitter.com/JokNqG5lIc
— Jëffy (Spike)Two Beers🖤 (@Britzskydk) September 7, 2022
今回はイタリアのバールとは?コーヒーの注文の仕方から国民性を紹介!というテーマでお届けしました。
海外旅行も少しずつ復活して来ている様です。
イタリアにご旅行の際には是非、滞在する町でのバールに立ち寄ってみる事をお勧めします!
そこにはイタリア人(とは限らずその地で生活している人達)の日常があります。
日本と違って警察官や救急隊員等も休憩中なら制服を着たままバールに立ち寄る姿を見かけたりもします。
バールに入ったら是非、カウンターでコーヒーを飲んでいる人たちのカップを覗いてみてください!
個性豊かなイタリアを感じる事ができる事と思います。