コロナ禍の中止を経て2年ぶりに開催されたウンブリア州スペッロのインフィオラータ!
とても楽しみにしていたので行って来ました。
折角なのでその様子をここにシェアします!
イタリアでのインフィオラータは実は宗教行事です。
イタリア中の多くの自治体で行われているものですが、コロナ以前は毎年全国から観光バスで訪れたり世界中から観光ツアーが組まれている程有名な町がいくつかあります。
そのうちのスペッロは、イタリアの緑のハートと言われる中部ウンブリア州ペルージャ県にある町です。
聖地で知られるアッシジと同じくスバシオ山の中腹にあります。
駐車場の問題や人混み問題や暑すぎ問題を考慮して、私たちは毎回7時頃には現地入りをし、まだ作業中でもあるその様子を興味深く覗かせていただいて、本来の行事である司祭率いる聖なる行列は見る事なく退散します。
今回も9時半頃には早々に現場を後にしましたが、その頃にはもうこの小さな町の細い通りは多くの人で埋まっておりました。
と言う訳で聖体のミサ後の聖なる行列の様子はなく、あくまでも町の様子が中心となりますが、イタリアのインフィオラータその意味と起源は?2022年ウンブリア州スペッロの様子を紹介!
最後までお付き合いください。
目次
イタリアのインフィオラータその意味と起源は?
Infiorate di Spello, domenica processione del Corpus Domini e premiazioni https://t.co/Q3mZw5uFxd pic.twitter.com/z6g6KZdsbY
— Umbria Domani (@UmbriaDomani) June 22, 2019
Twitterの写真は2019年のものですが、聖なる行列の様子が伺えると思います。
インフィオラータINFIORATAとは、花弁を使って描かれた絵や絨毯(カーペット)、またはその技法の事を指します。
スペッロのインフィオラータというと、この一年にたった一日の(実際は前夜からの作業・・企画や花収集などを含めるとほぼ一年に渡る作業ですが)いわゆる花絨毯まつりの事です。
インフィオラータの意味
インフィオラータが行われるのは、キリスト教カトリックにおける聖体の祝日です。
聖体の祝日は、最後の晩餐でキリストが弟子たちに伝えた「パンは私の肉である、ワインは私の血である」という言葉により、パンを聖体として崇める事を儀式として行う日で、キリスト復活祭から数えて9週目の日曜日にあたります。
元々は三位一体の祝日直後の木曜日でしたが、今はほとんどが日曜日となっているそうです。
因みに復活祭から数えて7週目の日曜日が聖霊降臨祭、8週目の日曜日が三位一体の祝日です。
その1:聖霊降臨の祝日とは、ペンテコステとか五旬節などとも呼ばれる。新約聖書の中にあるエピソードの一つにイエスの復活・昇天後に集まって祈っていた120人の信徒たちの上に神からの聖霊が降りたという出来事があり、それを記念する祝日。ーWikipediaより
その2:三位一体の祝日とは、前記のペンテコステによりいわば証明された、神である父と子(キリスト)そして聖霊による三位一体という教義を敬虔に祝う日の事。ーイタリア語版Wikipediaからの訳より
聖体の祝日にはミサの後、聖体を手に司祭たちによる聖なる行列が行われます。
その司祭たちの通る道上を花弁で飾る、それがインフィオラータなのです。
スペッロにおけるインフィオラータの起源
元々古くから、各地で様々な宗教上の聖なる行列が行われる際に、その通り道を花びらを撒いて飾る習慣があったようです。
それが次第に、聖体の祝日における行列の特別な賛辞となりました。
スペッロにおいても、元々は常緑葉やエニシダの花・フェンネルの葉といったごく僅かの種類を道上に敷いたり撒いたりするシンプルばカーペットだったのが、花の種類を増やし色的にも技術的にもより改善向上したものを求めるようになっていきました。
1930年頃に一市民の女性が、限られた種類の花びらで大きくて見事なデザインを仕上げたのを目にした住民が、その翌年から自分達もと参加するようになった事で、現在のような大きなイベントにまで成長したのだそうです。
次第に作品の完成度も高くなり、優秀な作品が表彰される様になってからはより一層力が競われる様になりました。
2020年、2021年とコロナのパンデミックにより残念ながら中止となったのですが、今年は2年ぶりに待望の開催に至ったのでした!
どのように花弁でデザインしていくのか?
Fiori in fieri.#Spello #Perugia #Umbria #infiorata pic.twitter.com/LSaT2naotq
— noxruit (@noxruit) June 18, 2022
デザインする画像イメージの構想、必要な色の認識、花収集、花弁取り分け、保存、前夜からの製作、画像を守るために怠らない霧吹き・・ほんの数時間の展示の為にどれだけの期間どれだけの人の手でどれだけの作業を必要とされているのでしょう。
地面に画像を作っていく方法としては、下絵を置いてその上に花びらを置いていく方法、画像にあった型を用いる方法、下絵を見ながらハンドフリーで作成していく方法などが用いられる様です。
2022年ウンブリア州スペッロでの様子を紹介!
Non è m’ama non m’ama ma si sfogliano i petali per l’infiorata a Spello! pic.twitter.com/1HhJv26erJ
— rosariaveneruso#IV🇮🇹🇺🇦🇪🇺 (@rosariavenerus1) June 13, 2022
スペッロの町は前記した様にスバシオ山の中腹にある小さな町なのですが、通常から住民の方々が花を愛し花を飾り、とても整備された素敵なところです。
それ故に、この一年に一度の大イベント・インフィオラータへの想いも強いのだと思います。
現在はインフィオラータ協会がその運営を任されているのですが、様々なグループからなる参加者は地元の住人に限らず外部から来る場合もあります。
花の収集から花びらを丁寧に取り分けて、細かなグラデーションまでも表せる様に細かく分別して保管。
全て近郊から集められる花や植物が原料とされ、必要な色がないからと着色をしたりする事はルール違反になる様です。
どんなに詳細に企画して準備をしても当日の天候は保証されていません。
作業をする時にはテントで覆って多少の雨なら凌げても、強風が吹いたらひとたまりもないですよね。
何しろ花びらを敷いている(置いている)だけなのですから。
全ては天にまかせて・・キリスト教的に言えば神の御心に縋る感じでしょうか。
カテゴリーについて
毎回スペッロでは総面積約1500㎡の花カーペットが催され、全ての役割に携わる人数は2000人程なのだそうです。
前日の夜から徹夜の作業となり、聖体の祝日当日の朝9時頃に作品の完成や作業用のテントの撤去を目指します。
当日は駐車場問題もあるし晴れなら気温は上がるし大混雑が見込まれる為に、私たちのようなものは早々に7時ごろから観賞散策を始めます。
カテゴリーは絵画部門・タペストリー部門・14歳以下部門にテラスガーデニング部門と別れます。
タペストリー部門は造形部門と幾何学模様部門とに分かれている様です。
それぞれにエントリー番号が表示され、聖体の行列がミサ後にそれらの作品の上を歩かれる前に、評論家・審査員がそれぞれの作品を採点しに回るのです。
そして、各部門での優勝者は表彰されます。
それにしても、その上を歩いてしまうなんてなんて勿体無い!と思うのは、例えキリスト教を敬っていても洗礼を受けた信者ではない者の見方でしょうか?
ほんの一部作品紹介






作品のコンセプトの中心となるものはやはり聖体を崇める心や新約聖書・旧約聖書からのエピソードで、オリジナルのものもあれば名作の模索の場合もあります。
近年では時事問題や世界情勢からのテーマだったりメッセージも見られます。
絵画部門では特に、作品の前にパネル化された元絵やそのメッセージ、コンセプト説明などが置かれているのでできればゆっくり読みながら鑑賞できたら良いのですが・・。
また、作品に使われている花びらや葉っぱなどを見る事ができたり、作品が乾燥しない様に霧吹きで常に水をかけているシーンが見られたり、生きた作品を見られる事はとても興味深いです。
2022年の優勝作品はこちら
UMBRIA | Edizione da record per le Infiorate Spello 2022 con migliaia di visitatori, vince l’infiorata di “Arco Romano”
Leggi la notizia https://t.co/4GZXgMSBor #umbria #Spello #infioratedispello #infiorate #turismo @InfiorateSpello @UmbriaTourism pic.twitter.com/b1wWhqPU76— TurismoItaliaNews.it (@TurismoItaliaNw) June 19, 2022
『ローマのアーチ』という作品が第59回スペッロにおけるインフィオラータ作品コンテストの優勝作品でした。
審査員による評価は次の様なものです。
見事なまでの製図と形態で詳細の実現は賞賛に値する。それは正に何で描かれているかという問題を考えさせない。とてもナイーブなテーマを取り扱っている上図形としても大変優れている作品。
山の中腹スペッロの町の景色をどうぞ



2023年以降のインフィオラータ(聖体の祝日)はいつ?
復活祭と連動している一連の祝日は、移動祝日であり毎年変わります。
もうパンデミックの様な事が起きて中止となる事がない事を祈りつつ、一度は訪れてみたい!と希望される方の為に来年以降のカレンダーを紹介します!
- 2023年 6月11日
- 2024年 6月2日
- 2025年 6月22日
- 2026年 6月7日
- 2027年 5月30日
- 2028年 6月18日
- 2029年 6月3日
- 2030年 6月23日
イタリアのインフィオラータその意味と起源は?2022年ウンブリア州スペッロでの様子を紹介!のまとめ

今回は1年に一度一日のみのイタリアのインフィオラータをテーマにその意味と起源、2022年ウンブリア州スペッロでの様子を紹介しました。
今は日本でもインフィオラータが行われている場所があるそうですが、24時間どころか出来上がってすぐに上を歩かれてしまうという何とも儚い(・・だからこそ美しい?)イタリアのインフィオラータの様子を知っていただけたら嬉しいです。
きっと参加者たちは来年の企画に既に入り出しているかもしれません。
今後もできる限り訪れたいと思います。
イタリアのインフィオラータその意味と起源は?2022年ウンブリア州スペッロの様子を紹介!
最後までお付き合いいただきありがとうございました!