2023年はイタリア空軍の発足から100周年にあたります。
8月6日、中部イタリア・ウンブリア州のフォリーニョ市においてイタリア空軍100周年を祝う航空ショーが開催されました。
迫力且つ華麗なアクロバット飛行を披露したのは、イタリアの国内外約50ヵ国での展示飛行の実績を持ち、多くのファンを持つイタリア空軍所属のアクロバット飛行チーム『フレッチェ・トリコローリ』。
今回、幸運にもこの航空ショーを現地で観る事が出来たのでその様子をシェアします。
ご興味がある方の為に、2023年内まだ航空ショーの予定が残っていますので併せて紹介しますね。
圧巻フレッチェトリコローリのイタリア空軍100周年航空ショー!2023年今後の予定は?
是非最後までお付き合い下さい!
目次
圧巻フレッチェトリコローリのイタリア空軍100周年航空ショー!
8月6日
イタリア🇮🇹ウンブリア州のフォリーニョにて
イタリア空軍100周年の式典
曲技飛行隊フレッチェ・トリコローリによる航空ショーが!
クライマックスはパヴァロッティの”誰も眠ってはならぬ”に合わせて。
華麗、そして迫力満点〜#イタリアライフ#freccetricolori #誰も眠ってはならぬ pic.twitter.com/uzmnA4sNZv— スペランツァ39 (@nandemocho39) August 8, 2023
フレッチェ・トリコローリと言うのは、直訳すると三色の矢の意味です。
三色はイタリアの緑・白・赤三色の国旗を表し、時に国旗のみでなくイタリアの国そのものを表す言葉ともなります。
日本の国旗を日の丸と言うのと同じですね。
ところでここで言うフレッチェ・トリコローリは、イタリア空軍に所属するアクロバット飛行チームの愛称です。
イタリア空軍のホームページによると、今年2023年はイタリア空軍発足から丁度100年にあたるので、『100年を記念する式典』ではあるものの、何よりこの100年間支え続けてくれた『国民への感謝の意』としての航空ショーなのだと記されていました。
なんだか感動します。
2023年2月から、イタリア全州の州都にて航空ショー開催のプログラムが組まれていて、丁度この度8月6日には私の暮らす中部イタリア・ウンブリア州での航空ショーが開催されたのでした。
世界でも最も古い空軍組織の一つであるイタリア空軍
1884年、気球を運用する部隊として陸軍内に航空部隊が創設されています。
1911年の伊土戦争(イタリア対オスマン帝国)は、航空部隊が戦場に投入された世界史上初の戦いとなりました。
その際イタリアは2隻の飛行船に加えて28機の航空機を投入しています。
1911年10月23日に飛行船による前線偵察を行い、11月1日には航空機による爆撃を実地。
この戦いでイタリアは勝利を収めています。
その後の第一次世界大戦では、欠いていた戦闘機をフランスから輸入したりライセンス生産することにより、戦闘機が主力となりました。
第一次世界大戦後、戦争での航空戦力の重要性を認識した時のイタリア国王ヴィットリオ・エマヌエーレ3世は、1923年3月28日イタリア陸軍から空軍を独立させました。
それがイタリア空軍発足です。
正式には当時はイタリア王立空軍(Regia Aeronautica)で、共和国である現在はアエロナウティカ・ミリターレ(Aeronautica Militare)イタリア共和国空軍と改称されています。
フレッチェ・トリコローリについて
1961年3月1日に結成したイタリア空軍・曲技飛行隊です。
正式飛行隊名は第313曲技飛行隊で、北イタリアのフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州、ウディネ県のリヴォルト空軍基地にその本拠地を構えています。
フォリーニョでの航空ショーでは8機によるパフォーマンスでした。
7機がグループとなり1機はソロ飛行です。
9機が編隊飛行をして一機がソロ飛行というのが通常の体制の様です。
パイロット以外に整備隊員も含めて第313曲技飛行隊は約100人で構成されていると言います。
近年の航空ショーでは、パヴァロッティの“誰も眠ってはならぬ”に合わせてイタリア国旗三色のスモークで空を彩るのがパフォーマンスのクライマックスとなっています。
その高い技術とダイナミックなパフォーマンスは世界でもトップレベルだと称えられています。
イタリアの天気予報は空軍の軍人
余談になるのですが、以前日本からの観光客のお客様によく質問された事を思い出しました。
当時は今のようにスマホがあってインターネット検索ができるわけではなかったので、ホテルのお部屋のテレビで天気予報の情報を得ていました。
日本では主に“お天気お姉さん”による天気予報ですが、イタリアでは大概制服を着たおじさんでした。
それは、イタリアでは気象予報は空軍の管轄となっているからなのです。
空軍参謀本部のイタリア気象局が国内の気象予報を提供しています。
その為ニュースで気象状況を解説する気象予報士は、気象局所属の軍人なのですね。
2023年フレッチェ・トリコローリ今後のパフォーマンス予定は?

既に2023年2月から始まっているイタリア空軍100周年式典フレッチェ・トリコローリ航空ショーですが、イタリア全州のうちまだこれからいくつかの州の航空ショーが残っています。
今回8月6日のウンブリア州のフォリーニョにおけるパフォーマンスは他の州とちょっと違った企画がありました。
それは、なんと現職のフォリーニョ市長自らのグライダーによるアクロバット飛行の披露です。
フォリーニョ市長ステファノ・ズッカリー二氏

フォリーニョ市の現職市長であるステファノ・ズッカリー二氏は、世界で初めて曲技飛行用グライダーパイロット免許を取得した障害者です。
かつての悲惨な事故により足が不自由になり、好きだったスポーツも何一つ出来なくなってしまいました。
それでも、友人のおかげでグライダーの世界を知り一目惚れした事で、空を飛ぶ夢を抱いたのだそうです。
1993年当時、障害を持つ人が飛行免許を取得できるとは誰も考えていませんでした。
挑戦を諦めなかったズッカリーニ氏は、その後曲技飛行用グライダーのパイロット免許を持つ世界初の障害者となり、彼の実例及び献身的な努力により、彼の様に障害のある人でも民間保護コースに通い消防偵察パイロットになる機会が与えられるようになっています。
今尚厳しい状況にある人たちに、強い勇気と希望を与え続けている事は間違いありません。
そんな市長自らのアクロバティック飛行が、このフォリーニョでの航空ショーで披露されたのです。
2023年今後の航空ショーの予定は?
以下の情報はイタリア空軍のホームページに現在公開されているものからの抜粋です。
2023年8月7日の予定はありませんでしたが、フォリーニョの航空ショーの最後にフレッチェ・トリコローがペルージャを飛び立ちリヴォルト空港のベースへの帰途において、マルケ州のアンコーナでパレード飛行をするというアナウンスがありました。
実際SNS上でマルケ州のアンコーナでのパレード飛行の模様の投稿を目にしたので、そういった変更も生じるものという認識でいるのが良い様です。
また、航空ショーの時間やパレード飛行の時間に関しては各都市のホームページなどで確認する必要があります。
航空ショー:展示飛行
8月20日 | カリアリ サルデーニャ島 |
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8月27日 | ジョヴィナッツォ(バーリ県)プーリア州 |
9月2日 | イエゾロ(ヴェネツィア県)ヴェネト州 |
9月10日 | デザンツァーノ・デル・ガルダ(ブレーシャ県)ロンバルディア州 |
9月16日 | ヴェルチェッリ空港“カルロ・デル・プレーテ(ヴェルチェッリ県)ピエモンテ州 |
9月17日 | トリノ空港“アエリタリア” ピエモンテ州 |
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9月24日 | トレント空港“ジャンニ・カポーニ” トレンティーノ・アルトアディジェ州 |
10月1日 | マリーナ・ディ・ピサ トスカーナ州 |
10月8日 | アンドーラ(サヴォーナ県)リグリア州 |
パレード飛行
8月25日 | カンポバッソ モリーゼ州 |
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8月25日 | バーリ プーリア州 |
9月1日 | ヴェネツィア ヴェネト州 |
9月3日 | モンツァ ロンバルディア州 (F-1グランプリにて) |
9月11日 | ミラノ ロンバルディア州 |
9月18日 | アオスタ ヴァッレ・ダオスタ州 |
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9月21日 | ターラント志願兵学校 プーリア州 (宣誓式式典イヴェント) |
9月25日 | ボルツァーノ トレンティーノ・アルトアディジェ州 |
9月28日 | ローマ グイドーニア ラツィオ州 (ライダーカップ開会式) |
10月2日 | フィレンツェ トスカーナ州 |
11月4日 | ローマ ヴィットリオ・エマヌエレ記念堂上空(国家統一と軍隊の日式典イベント) |
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12月17日 | アルタ・バディア トレンティーノ・アルトアディジェ州(スキーワールドカップ) |
圧巻フレッチェトリコローリのイタリア空軍100周年航空ショー!2023年今後の予定は?まとめ
Foligno (Umbria) frecce tricolori 💚❤️🇮🇹👏👏 pic.twitter.com/lRfgUULY3M
— Luca Anastasi (@luca_anastasi) August 6, 2023
今回は、中部イタリア・ウンブリア州のフォリーニョで2023年8月6日に開催されたイタリア空軍100周年フレッチェ・トリコローリによるパフォーマンス、航空ショーの様子を紹介しました。
日本では8月6日は広島原爆記念日。
この様なアクロバット飛行が出来るパイロットになるまでの訓練は相当なものだと想像しますが、これらの技術や能力が戦争の為に使われる日は永遠に来ることがなく、人々を魅了する曲技飛行としての存在であり続けてくれる事を強く願います。
イタリア空軍のオフィシャルサイト、イタリア語ではありますが、かなり格好いいのでご興味ある方は訪れてみてくださいね。
圧巻フレッチェトリコローリのイタリア空軍100周年航空ショー!2023年今後の予定は?
最後までお付き合いいただきありがとうございました!